392 患者さんは忖度(そんたく)しないで
いまだに忖度という言葉を聞きますが、
日本では良くも悪くもよく忖度をします。日頃の診察でも感じます。
医師は患者さんが言いにくい事や
気づかない症状の情報を忖度して
得なければなりません。
逆に患者さんは医師に忖度してはいけません。
初診時に正しい診断が出来るとは限らない為、
治療効果をみながら、診断を見極める事があります。
この時に、医師への忖度は誤診を招き正しい判断が出来なくなります。
治療が「効かない時」ははっきりと効かないと言うべきです。
優しい人が忖度で効果をはっきり言わなければ、
医師は治療効果が分からなくなります。
特に整形外科は痛みの治療が多いため、
治療による痛みの軽減は重要です。
鎮痛剤の効果を聞いた時に医師への忖度で、
効果がないのに少し効果があると伝えると、
間違った情報を参考に間違った診断や治療方法が選択されてしまいます。
正しい診断には忖度のない薬の正しい効果情報も必要です。
治療が効いているかをしっかり伝え、
効かなければ効かないと言うべきです。
そんなの簡単だと言う方もいますが、
外来ではっきりと言えない方も多いです。
私のクリニックの様にのんびりとゆっくりと診察が出来るなら良いのですが、
大学病院や大病院の様に忙しくて一人一人の診察に
十分な時間を取るのが難しい所では優しい患者さんが受診時に、
医師に忖度をしてしまい、正しい情報をついオブラートに包んで柔らかく伝えます。
だからこそ忖度しないでしっかり伝えましょう。