451 痛みは我慢した方が良いのか?

約一ヶ月ぶりの投稿です。
痛みは我慢した方が良いのか?
結論から言いますと、ダメです。当然ですが。
多くの方は、これくらいの痛みなら治るだろうと我慢されます。
でも、痛みが3日以上続くようなら、(1つの目安ですが)医療機関に行ってください。

痛みは体の異常の警告信号です。同時に体は自然治癒力を持っているので
多くの場合はその力で治ります
しかし、その自然治癒力を超える怪我をした時や病気の時には早めに治療で自然治癒力を強化した方が良いのです。
自然治癒力の限界がどこらへんにあるのか?
はっきりわからない事も多いため、私は皆さんに大怪我と思わない場合でも、3日過ぎて痛みが強いなら医療機関に受診するように説明しています。

痛みを我慢しているとどうなるか?
①、神経組織が痛みを覚える
②、①のために少しの痛みでも強い痛みと感じる
③、場合によっては痛みを感じる周辺に組織の萎縮が生じる
④、長期間、痛みが続くと神経が変性する
⑤、疼痛を制御する脳の一部が萎縮する
⑥、痛みを我慢すればするほど痛みに弱くなる

微弱な刺激でも繰り返し刺激を与えると神経組織は、その刺激に対して過敏な反応を示すようになります。
これは脳が記憶する原理と同じです。
②そのため、痛みが繰り返されると神経の反応は過敏になり、痛みを記憶します。
痛みが記憶されると、少しの刺激でも神経は強く反応するようになります。
③そして、痛みの刺激による神経の反応は、周辺組織への神経にも影響を及ぼすようになります。その結果、周辺組織の萎縮が起こる事があります。特に神経に損傷があった場合は、複合性局所疼痛症候群(CRPS)または反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)などのような萎縮を伴う病気が生じる事もあります。
④同時に神経組織自体も変性が進行します。
⑤2004年に発表されたApkarian先生の論文(Apkarian,et al. J Neurosci. 2004; 24: 10410-10415)では、痛みが和らげる働きをする脳の一部(背外側前頭前野DLPFC)が慢性腰痛症の方は萎縮している人が多かったと記載されています。
痛みこの部分(背外側前頭前野DLPFC)は痛みの感覚を和らげる作用(下行性疼痛抑制系)があります。従って、この部分の萎縮は人が本来持っている痛みを和らげる(我慢できる)機能が十分に働かない事を示します。つまり、痛みに弱くなってきます。
痛みを我慢すればするほど、痛みに弱くなります。

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