376 どうしてその靴?

私は大学時代に足底圧研究で患者さんの靴の影響を調べました。
その為、外出時につい靴を見てしまいます。
そして、皆さんに見て欲しいのは靴のカカトです。
もし、踵の外側か内側が削れている時は、すぐに修理をするか捨てて下さい。
外側の削れている人はO脚の傾向があるか、既にO脚になっています。
内側が削れている人はX脚の傾向か、すでにX脚になっています。
日本人の膝の変形性関節症は約8割が内側型の膝変形性関節症ですので、
O脚型で多くは踵の外側が削れていると思います。
また、膝変形性関節症の内側型(O脚)の人は歩行時、踵が地面に着く瞬間に下腿が足首を軸に外側に傾きます。
この動きを「外側スラスト」と言います。
そして、踵の外側が削れる原因にもなっていますが、
この動きは膝の内側に大きなストレスを与えて、さらに変形が進行します。
悪循環となります。

O脚 ⇨ 踵の外側の削れ ⇨ 膝内側へのストレスの増強 ⇨ O脚変形の増強

大学の実験ではO脚の人は踵の外側が高い靴を履くと膝の外側への動きを抑えることが可能でした。
動きを抑える事がO脚の悪化防止になります。
同様にX脚では踵の内側が高い方が良い訳です。
ところがこの様な靴はありません。
そこで、靴の中のインソール(足底板)でを使用します。
O脚では外側、X脚では内側を高くします。
足底板で変形性関節症の症状悪化を防止できるわけです。
足底板は医療装具なので医療機関では0~3割負担で作れ、オーダーメイドです。
作りたい方は担当医に聞きましょう。

靴そのものに関していえば理想は登山靴と思います。
毎日、体重の5倍以上の衝撃が加わるや、現代人の弱い足を保護するには
かなりハードな靴でないと足を守ることはできません。
ところが登山靴の日常使用はヘビーすぎます。
そこでウォーキングシューズとなるわけです。
福岡の天神で歩いている人達を見てみると
ウォーキングシューズを必要とする肥満の人ほど、簡単に履ける布のような柔らかい靴を履きます。
多分、すぐに履きやすいからだと思います。
しかし、柔らかい靴は踵への衝撃を吸収する衝撃吸収材や、
前足部と踵の間にかかる負荷を軽減する靴全体の弾力性がなく、
踵とつま先が触れるほど簡単に曲がります。
この様な靴は、足の保護機能はありません。
そのために長時間歩くと脚を痛めます

ところが、高齢の方にウォーキングシューズを勧めると
デザインが合わない、靴が重たいと言われる方が多いのですが、よく聞くと見た事がないと言われます。
最近のウォーキングシューズは色々なデザインがあります。
まるで、革靴の様な物やご高齢の方も似合うアースカラーの物もあります。
デザインに関してはバリエーションが増えましたので、あまり心配しなくてもいいと思います。

靴の軽さに関しては残念ですが、少し重たくなります。
足を守るために十分な強度を持った靴を作ると重たくなります。
逆に軽くてしっかりした靴を買おうと思うと数万円はするでしょう。
もし、軽くて2〜3千円の靴があった時には全く強度が足りない事が多いです。
人の足は片側で約8kgほどの重さがあります。
500g程度の差は大きくはありませんので
靴の軽さよりも靴の機能を重視して、自分の体を守ってください

靴を選ぶ時には
①機能
②デザイン
③重さ
の順番で、重さは最後にして下さい。

ぜひ日頃からウォーキングシューズを履きましょう