450 診断書を渡せない時

①本人でなければ診断書を渡せない時がある。
②成人の場合、夫婦や親子であっても本人の承諾が必要
③裁判で争われたこともある。

本人以外に診断書を渡せない時があります。(死亡診断書は別ですが)

それは本人の承諾が確認できていない時です。
以前、病院と患者さんの間で診断書に関して裁判で争われた事があります。
これは私が聞いた話ですので、記憶間違いがあるかもしれませんが、大きな間違いはないと思います。

あるご夫婦がいました。
そのご主人が交通事故にて怪我をされて、入院されました。

治療は順調に進み、特に問題なく退院となりました。
自宅に戻ると離婚届がテーブルに置かれていました。

ご夫婦は、協議の末、離婚することになりました。
ここまでは、よく耳にする話ですが、ここからがちょっと違います。

離婚後に、ご主人は自分の生命保険に気付きました。
交通事故でも幾らかのお金が出る保険です。
早速、生命保険会社に連絡を取り、保険金の請求を行いました。
答えはNOです。
すでに、保険金は請求されており、支払われていました

奥さんが、ご主人の入院中診断書をもらって請求していたそうです。
この男性は、びっくりしました。

この保険金請求時はご夫婦で、離婚は成立していませんでした。
しかし、自分が知らない間にもらうべき保険金が元妻(その当時の妻)に支払われていたのです。

結局、男性は、病院を訴えました
自分の承諾を得ずに病院が診断書を出したことが原因で損害が出たと。
病院側も、その当時は夫婦だった奥さんからの請求だったので、診断書を出しても仕方がないと。

最高裁まで争われたと聞いております。
結果は、病院敗訴です。

個人情報を含む診断書は本人の承諾なくして渡してはいけないのです(もちろん死亡診断書は異なります)。
当院では以前から診断書は、本人もしくは委任状を持った方しか渡していません。
この裁判結果が出た後は、さらにこの方針を堅持しております。
しかも、上記のようにご夫婦や親子(親子とも成人)であっても同じなのです。
親が子供の診断書を希望した場合、子供が成人前は親に渡せるのですが、
子供が成人であれば、本人の承諾が必要です。
当院では本人の承諾とは、
1、本人来院時にどなたが受け取りに来るか決めて頂く場合
2、本人が記載した委任状がある場合
としています。
電話は、本人の確認が取れませんので診断書のお渡しはできません。