432 鎮痛剤は必要です!
①痛みを我慢しても体調を崩すことがある。
②鎮痛剤の副作用(胃腸障害、腎障害、肝障害など)は少なくなっている。
③痛みを我慢していると痛みに耐える機能を持つ脳の一部が萎縮する。
④痛みを我慢すると痛みが記憶され、より強い痛みを感じるようになる。
⑤副作用の少ない鎮痛剤を選んで、痛みを我慢しない方が体に良い
鎮痛剤内服を断る方がいます。本人の考えですから、それも選択肢です。
しかし、内服しない事で苦しみが続き、体を痛める(胃が荒れたり、脳が萎縮する)時もあるので正しい知識で判断して下さい。
拒否の原因の多くは副作用です。しかしが漢方薬や食料にも副作用がある事を理解しましょう。
昔、鎮痛剤は種類が少なく、胃腸障害、腎障害、肝障害などの副作用がありました。その為、一部の方は鎮痛剤は副作用が多いが、漢方薬は安全で副作用はないと誤解されました。
残念ながら、全ての漢方薬に副作用が報告されています。
では、現在処方される鎮痛剤は副作用が出やすいでしょうか? 胃腸障害がほとんどないものや、腎機能障害の生じないもの、肝障害も生じないものなど、もともと副作用の少ない鎮痛剤や新しい鎮痛剤も多数開発されたので選んで内服する価値は十分にあります。
原因疾患の治療とは別に、痛みを我慢し続けると、まず、痛みが記憶され、同じ痛みがより強い痛みに変わります。加えて痛みを我慢する時に使う脳の一部が萎縮1)し、痛みを我慢する能力が低下します。痛みで胃潰瘍を含めた胃腸障害やうつ状態など肉体と精神の障害が生じます。
どんな手段でも痛みが和らげば、痛みは記憶されず、痛みを我慢する能力も維持できます。鎮痛剤を恐れる気持ちもわかりますが、痛みは我慢するものではありません。
我慢は日本人の良いところですが痛みは我慢しないで下さい。
参考文献
1)慢性腰痛症患者のMRI画像における灰白質密度の低下 Apkarian AV,et al. J Neurosci. 2004;24:10410-10415.