388 安静時の痛みが強くなった

去年、左肩痛の患者さんが来院されました。
それ以外の症状は無く治療しても痛みが軽減せず、
特にわきから上腕の内側へ範囲が広がりました。
レントゲンでも異常は確認できません。
すぐに詳しい検査を行ないました。
MRI検査で胸と首の境目、肺上部に腫瘤を認め、
血液検査のCEAは異常高値でした。
肺癌のパンコースト症候群です。
すぐに大学病院に紹介しましたが、手術は出来ず
抗癌剤療法のみでした。
その他に左肩痛で来院された方がいました。
心筋梗塞になった直後に来院され、専門医に紹介した所
当日に緊急手術をされました。
次の日には旅行に行く予定をされておられ、
循環器受診を渋っておられました。
もし、手術を受けなければ大変な事になっていたと
循環器の先生に言われたそうです。
その他、腰痛で来院された方の中に
通常の位置(骨盤上 縁近辺)より上方(腎臓)で
響くような叩打痛がある方がいました。
後日、腎臓癌が見つかりました。
また、50歳代男性が軽い外傷で腰椎圧迫骨折を起こしたのですが
原因は前立腺癌の腰椎骨転移でした。
症状によって椎間板ヘルニアの発生部位を
ある程度同定出来るのですが
ある患者さんの腰椎椎間板ヘルニアの症状範囲が
徐々に広がる人がいました。
MRI検査で椎間板ヘルニアではなく、
手術を必要とする腹部大動脈解離が見つかり
大学病院で手術を受けるとその症状が消失しました。
なぜヘルニア症状が出現したのか、いまだにわかりません。
いずれも安静時に継続か増強する痛みが生じます。
先日も左上腕内側痛が徐々に広がる女性が来院されました。
他医(内科)で全て(多く)の検査を行い異常なしと言われたようです。
私はパンコースト症候群が怖かった為、詳しく聞いた所、
私の聞き方が悪かった為に立腹されて診察させて頂けませんでした。
申し訳ありません。
他医で検査を受けておられると思います。
その症状の原因が私の思い過ごしであれば良いと願っています。