382 安静にしても治るとは限らない

診察時に、早く来て頂ければと悔やむ事があります。
例えば「50肩」。
友人(医療関係ではない)から50肩は放っておけば治ると言われ、
安静にしていたら、痛みで寝られない(不眠)と来院されます。
診断は肩関節周囲炎(50肩)で炎症と痛みを和らげる治療と
可動域訓練を行いました。
この夜間痛はひどいとなかなか治りません。
なんとか夜間痛が軽減して安眠できる様になりましたが
可動域訓練は必要でした。
問題は初期治療を行わず、
長い安静の為に生じた「凍結肩」です。
関節が硬くなり、動かすと痛み、痛みを避ける為に動かさないので
さらに関節が硬くなる悪循環を生じます。
早期から治療で痛みを和らげながら肩を動かす事が重要です。
多くの腰痛は、筋肉痛が原因の筋性腰痛症(骨折や椎間板ヘルニアではなく)です。
治療では3日以上安静は筋肉を弱め、痛みが悪化する事があります。
その為、鎮痛剤(胃を痛めるロキソプロフェンやジクロフェナクではなく、
Cox2阻害剤オピオイドアセトアミノフェンなど)を内服して
痛みを軽減させ無理のない日常生活動作で出来る事は行うという
矛盾的な指導をします。
要するに安静にし過ぎてはダメなのです。
しかし腰痛は腰椎圧迫骨折の「知らぬ間に骨折」の時があるので
自己判断は避け早めに医師の診察を受けて下さい。
またコルセット装着で筋力が落ちるとよく言われますが、
コルセット装着による筋力低下を示すしっかりした医学論文を見つける事ができませんでした。
コルセットで筋力が落ちるとどなたが言われたのでしょうか?
腰痛治療は筋力訓練が最も重要ですが、
時間がかかります。
そこでコルセットで腰痛の悪化を防ぎ、副作用の少ない鎮痛剤で
痛みを和らげ筋力訓練をしましょう。
安静≠治癒です。