336 治るという事とは

患者さんとの会話で誤解が生じる事があります。以前にも書いた『最近痛みがひどい』の『最近』も誤解が生じる事が多いのです。手の切創で整形外科を専門でないと受診されない方もいました 大きな誤解です。そして重要な言葉の『治る』も誤解が多いです。例えば、変形性関節症を治療する時に、患者さんは『治りますか?』と聞きます。答えるのがかなり難しいです。患者さんの治るとは痛みが消える事か、病気が無くなり正常に戻る事か?『痛みが無 くなるか十分に軽くなる』を『治る』とするならば、変形性膝関節症は十分に治ると言えます。ところが『変形が元に戻るか?』と聞かれれば『治りません』となります。鍼をして『治った』と言われる方がおられます。残念ですが、鍼では変形や軟骨は元に戻りませんので痛みが取れた事を言われているのだと思います。腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアの手術を受けた方が『全然治らない』と言われる事があります。実際に診察をさせてもらったり、お話を聞いてみると手術を受けた部分は治っている(症状は消失している)のですが、その上下の椎間板や脊柱管の異なる部位が悪くなっている方がおられます。また手術が成功しても、手術を遅らした為『神経の変性』が生じ、しびれ感や痛みが残る人がいます。医師が成功と説明しても、患者さんの症状は残る時があるのです。『治る』ためには何を治すか目標と適切な時期の治療が必要です。主治医によく聞来ましょう。