20 大腿骨頸部骨折

骨粗鬆症で生じるやすい骨折のひとつが大腿骨頸部骨折(股の部分)です。
高齢で転倒後に歩けないなら大腿骨骨折を疑います。
大腿骨頸部骨折はとても治りにくく(骨折の治癒に最低6週間)手術をすることが多いです。
手術をしないと寝たきりになりやすく、痴呆・筋力低下・床ずれ・肺炎などを起こして体力が落ちます。
平成6年度?長寿科学総合研究班(厚生省結成)の発表では大腿骨頸部骨折後の5年生存率
たったの約50%です。5年後には半分の方がなくなっているのです。
簡単な比較は出来ませんが、初期胃ガンの方の5年生存率は80~95%ほどです。
大腿骨頸部骨折がいかに重症かつ緊急かを知ってください。そして治療が重要なのです。
ご家族は『この年で手術はさせたくない』とか「この年で痛い思いをさせたくない」と言われますが、
皆さんは手術をしない場合の「その後」をご存知ないのです。長期間のベッド上安静は、少しの動きでも
ひどい痛みが続くため、それが長期間となり患者さんの体力をどんどん奪っていきます。
そして、床ずれも起きます。この床ずれはひどいと骨まで達するものもあります。
続いて、精神的なトラブルの認知症心臓も弱ってきます。
もちろん、手術ができない方にはできるだけの治療を行いますが、ベストの治療方法は手術です。
手術ができるのに手術をせずに徐々に体力が弱ってくるのをみているのも良い事とは思いません。
手術をせずによい老後を過ごした方は少ないのです。危険はありますが手術ができれば、
早いと1週間で歩行練習か車椅子を使用できます。私は最高齢101才の方の手術を執刀した事があります。
手術後、その方はとてもよい老後を過ごしました。

肋骨骨折

前の記事

19 肋骨骨折