381 骨折しても

最近、骨折の治療中に治癒する前に「痛み」が無いからと
固定シーネを外し、結局、骨が曲がって治りかけた中学生がいました。
この時の選択肢は、
①そのまま曲がった状態で治し、後日支障があれば手術をして元に戻す
②麻酔をしてもう一度、再骨折させ、
固定し直すしかありません。
この子は麻酔をして骨を再度骨折させて(痛みは少ないですが)、
整復して治しました。
これは「痛みが無ければ治癒した」という間違った考えが原因です。
骨折は十分な固定が出来れば治癒しなくても数日で痛みが消失します。
痛みは重要な体の警告信号ですが、
同時に長時間は有効ではないのです。
例えば大腿骨頸部骨折はほぼ全例、手術が必要です。
しかし運良く骨折した骨同士が食い込むと骨折部分が固定され、
痛みが少なく歩行が一時的に可能になります。
手術が必要な骨折でも、痛みでは判断できず
痛みが少ないから骨折していないとはとても言えないのです。
加えて、大きな血管を損傷しなければ皮下出血は少なく、
受傷部位が紫色になりません。
骨のみに大きな衝撃が加わって骨折すれば、
骨周りの組織のダメージは少なく、腫れも少なくなります。
そして手足を動かせる時もあるのです。
その為
「色が変わっていない」
「腫れが少ない」
「動かせる」
は骨折の指標になりません。
骨折しているのに無理に動かすと血管や神経を傷つけ重症となる事もあります。
まずは固定を行ない、
局所の安静を保ち、すぐに医師に診てもらいましょう。
自己判断は避けた方が良いですよ。