15 子供の肘の痛み
診療時間外に受診される子供で特に多いのが肘内障です。
特に土曜日の午後、お父さんが子供と遊んでいて
手を持って「ぶらんぶらん」と子供を振り回した時に
子供が急に手を痛がります。肩から肘を押さえて痛がるので
肩の脱臼と思って来院されます。
肩の脱臼は激痛を伴いますので、ちょっと違います。
子供を肘の関節の輪状靭帯が亜脱臼する(はずれる)ケガです。
関節がまだ柔らかい子供の手を急に引っ張ると生じるケガです。
寝ている子供の体を引き起こす時や遊ぶ時に手を引っ張ると生じるので
必要がある時は出来るだけゆっくりと引っ張り、
なるべく手ではなく前腕の方を持つようにしてください。
受診後、整復すれば問題はなく、子供の時には再発するかもしれませんが、
大人になれば再発しません。その点はご心配しなくて良いでしょう!
気をつける事は、骨折の時も似た症状がある事です。
そして肘の骨折は安静にしないと転位しやすく(ずれやすく)、
手術を必要とするものや、入院が必要なものもあるので、医療機関を受診しましょう。
肘を直接打撲した時、転倒した時に手を着いてから肘痛がある時、
受傷の様子が分からない時、私は必ずレントゲン検査を行ういます。
骨折がない事を確認せずに無理な整復操作を行うと手術をする必要がない骨折まで
緊急入院や手術が必要になる事があります。
救急病院に勤務していた頃は月に何例か小児の肘の手術をしておりました。
簡単に治る脱臼のかげに骨折があります。