455 腰痛は気をつけて
①腰痛は軽微なキッカケでも圧迫骨折のことがある
②治療をしているのに腰痛が軽減しない時は、担当医とよく話し合って
③疼痛の増強や持続、安静時痛は特に気を付けて
7月末に患者さんが来られました。診察ではなく、お礼との事。
この患者さんは、腰痛で苦しんでおられました。
かといって、特殊な治療をしたわけではありません。
この方は重量物を持ってから腰痛が出現しました。そして、あるクリニックで単なる腰痛症として治療されたようです。
ご本人が言うには、かなりの激痛で医師に痛みを訴えたそうですが、
「理学療法で治ります」と1ヶ月以上理学療法と鎮痛剤で経過を見られたそうです。
その間、痛みは改善するどころか、徐々に悪化していきました。
繰り返し痛みを訴えても医師は強い鎮痛剤に変更するだけでした。
患者さんはとても真面目で優しい方です。
忙しいので医師は聞く時間がないのだろうと耐えていたそうです。
しかしとうとう我慢しきれず、入院可能な所を紹介してほしいと当院に来院されました。私のところで診察とレントゲン検査を行ったところ、腰椎圧迫骨折の疑いが濃厚でした。MRI検査では、第11胸椎圧迫骨折の他に第12胸椎の2箇所骨折しています。痛いはずです。
骨折しているにも関わらず、リハビリで骨盤牽引(圧迫骨折では禁忌です)や、筋力訓練と称して腰を動かす訓練を受けていました。
圧迫骨折で初期にはするべきではない治療です。
ご本人は、とても痛みが強く苦しかったそうです。
正直、びっくりしました。これは医療裁判になりかねない事例です。
とうとう我慢できず、入院できる所を紹介してもらえないかと当院を受診したわけです。
すぐに、入院可能な病院を手配して、翌日に入院となりました。
入院の手筈が済んだ時には治療はまだまだなのに泣いて喜ばれました。
それが連休前ですから、3ヶ月近く入院していたことになります。
昨日はご自分の足で歩いて来院されました。
まだコルセットはしていると言われていますが、歩容は良好でした。
とても嬉しかったです。
同じ頃、同様に別の病院で腰痛の治療をしていたが、治らないと来院された方がおられました。
この方は、布団の上げ下ろしで腰痛が出現したと言われています。
骨粗鬆症ですので、このような例でも圧迫骨折を起こすことがあります。
この方も、前例と同様に診察とレントゲン検査で圧迫骨折の可能性があったため、すぐにMRI検査を行いました。結果は腰椎圧迫骨折です。
この方もすぐに入院の手筈を整えて、ある病院に入院して頂きました。
順調と報告を受けております。
治療によって痛みが少なくなっているのであれば良いのですが、上記の例のように、疼痛が持続、もしくは増強している時は、強く担当医に訴えて下さい。また、安静時痛も怖い症状です。担当医が聞いてくれないなら、他の医師や病院でも受診して良いと思います。