447 ヒアルロン酸注射で嘘つきにされた女性

当院ではよくヒアルロン酸の関節内注射をします。
ヒアルロン酸関節内注射では針を刺す時は痛みがありますが、
これは血管に注射するのとほぼ同じ痛みです。
そして、ヒアルロン酸注入時には関節腔内に注射をするので痛みがありません。
ヒアルロン酸が直接物理的に組織を痛める事はないのです。


ところが、関節腔内にヒアルロン酸を打たないとかなりの痛みが出ます。
患者さんによっては注射した周辺に数日は痛みが残るそうです。
関節腔内に注射針が届いていない状態でヒアルロン酸を注入すると、
関節腔外の組織にヒアルロン酸を打つことになります。
こうなると、皮下組織にヒアルロン酸を打つため、痛覚神経の豊富な皮下
ヒアルロン酸を無理に注入する事になり、ヒアルロン酸注射直後から強い痛みが出てきます。


ある日、当院の患者○○さんがお友達○Xさんにヒアルロン酸関節内注射の事を聞かれた時に
『そんなに痛くないよ』と言ったそうです。
しばらくして、違う友達より『○Xさんがあなた○○さんの事を嘘つきって言ってるわよ』と聞かれたそうです。
○Xさんはどこかの病院でヒアルロン酸の関節内注射をして、数日間、痛みで普通に歩けなかったそうです。
こんな痛い注射を痛くないと言ったその患者○○さんは嘘つきだと言う訳です。

私は注入開始時に痛みがあるか常に確認して注射を続行しています。
痛みが強ければ、注射を中止するか、針先の位置を変えて痛みがない事を再度確認して
注射します。そうすれば注射後に痛みで歩けなくなるような事は起こりません。