440 肋骨骨折

①肋骨骨折は簡単に生じる(軽い打撲、長く続くくしゃみ)
②初回のレントゲンではわからない事がある。
③痛みが続くなら、1週間ほどしてレントゲン再検査をした方がよい。

①肋骨骨折は咳でも生じます。
コロナ感染症があまり無い頃に、
咳が続いて胸が痛いと言われる方が時々受診していました。
ある一箇所を押さえると痛みがあり、
深呼吸時や寝ている姿勢から起きようとした時笑った時に
痛みが出て安静時にはありません。

②レントゲンで骨折が確実にわかると思われる方もいるでしょう。
しかし、肋骨骨折って案外分かりにくいのです。
例えば
上の
 最初の写真は初診時(骨折線は見えません)
 2番目が1週間後(骨折部がズレてます)、
 3番目が想像図です。
 二つとも同じ部位です。
③痛みが続くなら、1週間後に再検査を!
なぜ、初めはわからなかったのか?
陶器の食器でもヒビが入った時にヒビ自体がわからない時があります。
骨もその様な状態になる事があります(骨のヒビは骨折です)
ところが、1週間も経つと、
呼吸で常に動かされる部位であるために
骨折部がずれたり
治癒過程で、骨折部周辺の骨を分解して
新しく骨形成の準備をします。
その為、1週間後のレントゲンでは、
骨折部がズレていたり、
骨折線が明瞭に見えてきます。
形を見るレントゲンやCTでは形の変化がなければ
骨折がわからない事もあるのです。

実際に、去年の末に診察した患者さんで次の様な事がありました。
釣り場から船に移ろうとして釣り場の岩の上に落ちて背中を強打。
救急病院を受診。
胸部CTを撮って肺損傷はないと診断されて帰宅。
痛みが続く為に、当院を受信されました。
結果は、肋骨骨折でしかも3本以上。
初診時、救急病院で肋骨は折れていないかと聞いたらしいのですが
担当医は『CTまで撮って、折れていないから、折れているはずがない』と
言われたそうです。
肺損傷がなければ一安心ですが、
残念ながら、レントゲンCTは形を見るので骨のヒビはわからない事があるので
担当医が間違っています(折れているかも知れないが、心配入りませんよと言うべき)。
その方は、疼痛があまりにも強いので入院を希望されました。
紹介先で数日入院。
痛みが減り、退院して骨折も治癒しております。
しばらくは家族の反対で釣りに行けないそうです。