434 腰痛の時
①腰痛が無くても脊椎圧迫骨折を起こしている事がある。
②腰痛でも部位によっていろいろな疾患がある
③骨粗鬆症だと尻餅でも骨折する。しかも骨折部位の痛みは後から生じる。
④72才の骨粗鬆症の治療は有効です。
腰痛として来院される多くの方は、なんらかの無理をして痛みがある場合が多いようです。ところがご高齢で骨粗鬆症になりつつある方(60歳後半以後)の方が尻餅をついた時には、胸椎や腰椎に痛みがなくても(叩打痛)がなくても圧迫骨折を生じていることが多いです。
先日も尻餅をついて腰痛はあるが、脊柱に圧痛や叩打痛がなく、臨床症状では圧迫骨折があると診断できない方がおられました。レントゲン検査にて腰椎の形が少しいびつで骨折を否定できませんでした。
この為、MRI検査を勧め納得されて検査を行いました。
やはり、新鮮骨折が確認されました。症状はほとんど無く、安静を指示したのですが、残念ながら、この方は1週間後のXpでは第1腰椎の椎体前璧が潰れて若干の楔状変形が生じました。MRI検査後、すぐに腰椎装具を作成したのですが、出来上がるまでに潰れてしました。幸い、これ以上の圧潰は生じる事なく腰椎の骨硬化像が出現して、骨折は治癒しました。
場合によっては骨折部分が脊柱管(神経の通り道)に突出して神経を押さえるため、手術が必要になる事があります。
また別の方は、腰が痛いと来院されたのですが、何度聞いても外傷歴はありません。通常の腰痛よりも高い部分に圧痛がありました。腎臓の疾患を疑い、尿検査をしましたが、糖尿病もあるため、はっきりした原因がつかめません。ただ、通常の腰痛ではないと判断して、内科受診を勧めました。この方は他の疾患(肺)が見つかり、現在はその治療のため入院されました。腰痛はそちらが原因だったようです。
骨粗鬆症になると腰椎圧迫骨折は物を持つだけでも生じることがあります。10kgぐらいの物を持って、骨折を起こした方もいました。女性の場合は閉経してから急激に骨密度が下がり、72歳の平均骨密度は骨粗鬆症の治療が必要なレベルです。天神でご高齢の主婦のお話が聞こえてくる事があり、「私は100%だから大丈夫なのよ」と聞いた事があります。この方は80歳ぐらいでした。この場合、100%とは年齢平均との比較だと思われます。なぜなら80歳代で若者との比較で100%な人は1000名に1人もいません。スーパーウーマン以外ありえないのです。となるとこの100%とは同年齢平均との比較になりますので、80歳の平均値は骨粗鬆症です。治療が必要なのです。