399 時々見かける手のしびれ

赤:正中神経 
青:尺骨神経

まとめ
 ①手のひらに限局+母指〜中指⇨手根管症候群が多い
 ②小指周辺⇨肘部管症候群、ギオン管症候群
 ③手の甲の痺れ⇨橈骨神経で首が原因の場合が多い、例外としてハネムーン症候群がある

よく診るのは手のひらのしびれです。
薬指を境に、親指側と小指側の痺れでは神経が違います。
親指側正中神経
小指側尺骨神経です。
診断には痺れの範囲が重要です。
確定しているわけでは無いのですが、
手のひら限局は手首や肘関節が原因が多く、
前腕に広がる場合は頸椎もしくは神経そのものなどの病気が
多いです。
どちらかといえば、しびれが限局している場合は
局所の病気の可能性が高いわけです。
診断時に患者さんに痺れの範囲を聞くと
「手の全部が痺れていると言ってるじゃないかと何を聞いているんだ!」
と怒られます。申し訳ありません。
診断には正確な痺れの部位の把握が必要と説明すると
納得され、「そう言えばこちらの方が痺れが強い」と
教えて頂けます。
小指周辺のみの痺れなら肘部菅症候群ギオン菅症候群があります。
手のひらなら手根管症候群が有名です。
また、それぞれ、特有の筋力低下が生じて、
それにより特定の動作が困難になったりします。
また、手の全体が痺れていて
起床時は小指側で夜は親指側という方もいました。
この方は就寝中に肘を曲げ過ぎて(肘部管症候群)、
仕事中は顎を手に乗せて手首をそらし過ぎて(手根管症候群)
異なる神経圧迫が原因でした。
いずれも整形外科で治療(手術を含む)をします。
MRI検査は重症以外は評価できず
神経の伝達速度低下症状を診る方が診断しやすいです。
当院でも重症の方は神経伝達速度を測ります。
二人で寝ていて男性(女性?)が腕枕をしていた時に、
腕の後ろに本などに固い物があると、橈骨神経が圧迫され、
手の甲の痺れ手首を上に上げる力がなくなります。
橈骨神経が麻痺している状態です。
これはハネムーン麻痺と言い、多くは治るのですが、時間がかかり、
急に手が使えなくなるためびっくりする事が多いです。
福岡市西区の救急病院で働いている時に
寿司屋の大将が寿司の勉強中にうたた寝して
橈骨神経が圧迫され
ハネムーン麻痺を発症したのを診た事があります。
幸い、優秀な弟子がいたため
治るまでは弟子に店を任せて
無事な様でした。

橈骨神経麻痺 ハンネムーン麻痺