365 鎮痛剤を飲むべきか?飲まないべきか?

消炎鎮痛剤をもらっても「副作用があるので飲まない」と我慢する人がいます。飲まない方が良いのでしょうか?
まず痛みが続くとイライラしたり、胃があれたりします。慢性腰痛になると脳の局所灰白質密度が低下して、機能異常が生じるとする研究が発表され、日本でも研究されています。長く続く痛みは記憶されます。そして記憶されると軽い痛みが生じてもすぐに強い痛みを感じるようになり脳が疲れてしまうのです。その意味では「痛み止め」は内服した方が良いかも知れません。消炎鎮痛剤は消炎効果があるので痛みと炎症(腫れ・熱感・痛み)を治したい時は内服した方が良いですし、指摘されていた胃腸障害COX2阻害剤(セレコックスなど)が開発され、少なくなりました。消炎鎮痛剤以外では胃腸障害が少なく、さらに高齢者の除痛時に使う事が出来る、安全性が高い(胃・内臓の副作用が少ない)薬で第一選択剤のアセトアミノフェンも欧米と同じ用量が使えるようになりました。また、神経の圧迫などで生じる神経障害性疼痛(椎間板ヘルニアや坐骨神経痛)に使用するプレガバリン(リリカ)デュロキセチンは眠気に注意すれば、胃腸障害や腎機能障害は少なく長期に使え比較的安全です。
麻薬の依存性・習慣性を無くしたオピオイド鎮痛剤は便秘や吐き気が時々生じますが内臓の副作用は少ないため、慢性の痛みで苦しんでいる人は試す価値が十分にあります。今後、鎮痛剤は副作用が少ないものが多くなり有用性は高まってきます。病気が治らなくても、痛みされ取れれば、生活が楽になる人がいます。整形外科領域ではそのような方が比較的多いので副作用の少ない鎮痛剤を試されたらどうでしょうか?それでも副作用が怖くて薬を飲みたくない時は医師に聞いてみて下さい。怒られるとか考えなくて良いですよ。命に関わる抗がん剤でさえ患者さんの意思が重要です。たかが鎮痛剤されど鎮痛剤です