359 鎮痛剤
痛みどめを処方しても内服しない方がいます。 同様に癌であっても本人が拒否すれば抗癌剤を 処方されません。本人の決定ですので仕方ない のですが、正しい知識で判断して下さい。
例えば、骨肉腫は20年前なら5年生存率は20%程 度でしたが、今では、標準的な治療(抗癌剤の内服や手術を含む)だと5年無病率(病気が治った)は70%を超えます。癌治療も進歩しています。痛み止めもここ数年、いろいろな薬が使用できる様になりました。昔の消炎鎮痛剤は胃の機能を抑える為、胃炎や胃潰瘍になりやすかったのですが、新しい消炎鎮痛剤(COX2阻害剤)は胃を痛める事が非常に少なく、昔のように胃を痛める事がないので、痛み止めをあまり我慢しなくて良いのです。それに加えて、慢性痛は胃が荒れるだけでなく脳も萎縮するなど身体を蝕む事がわかりました。長期間 の痛みは脳の一部分の灰白質を萎縮させます。特殊なMRI検査を用いた研究で明白になりました。そして今は痛み止めを選ぶ時代です。痛みは大きく
①侵害受容体性疼痛
②神経障害性疼痛、
③心因性疼痛
に分けられています。
それぞれに第1選択、第2 選択、第3選択の薬があり、患者さんの状態(原因疾患や体調)によって選ぶ訳です。胃が悪い人、腎機能や肝機能が弱い人などに 合わせて痛み止めを変えるわけです。せっかく副作用の少ない薬を処方したのにほとんど内服せず来院される人がいます。痛み止めを内服しないで病気が悪化したり、新たに生じる病気もあるのです。