342 消炎鎮痛剤

私は外傷時の消炎鎮痛剤Cox2阻害剤を処方します。腫れや炎症が早く治り、胃腸障害が少ないからです。ところが、ある患者さんが以前の薬がよく効くので、戻してと言われました。体は複雑ですから、そんな事もあると思いながら詳しく聞くと「その薬は内服して5分で効く」と言われました。解熱鎮痛剤や投与方法を変えると早く効くものもありますが、多くの消炎鎮痛剤は効果が出る(有効血中濃度に達する)まで、1時間以上かかる薬なのでありえません。患者さんにその事を説明し、Cox2阻害剤の方が胃腸障害が少なく、痛みを柔らげる効果もあまり差がない事を説明して継続してもらったところ、効いたと満足して頂けました。同様に鎮痛剤は胃腸障害が出ると信じている方も、説明すると内服時の胃の痛みが消失されました。信じる事で痛みが取れたり、胃が痛くなったりするのかも知れません。冷感湿布においても体が冷えると信じている方が多いのですが、皮膚温は1度も変わりません外傷時には氷やアイスパックなどで本当に冷やして下さい(アイシング)。残念な事に多くの湿布は有効性について信頼されるデータが少ないため、アメリカでは薬として認められず、その事から多くの国も薬と認めていません。しかし、数年前に医学的に信頼されるデータを持った湿布も出現しました。湿布が世界的に消炎鎮痛薬と認められる日が来ると思います。しかし、消炎鎮痛剤の内服と比べるとまだ効果は弱いようです。消炎鎮痛剤や湿布を正しく理解しましょう。