334 膝を伸ばそう 曲げるより
膝の診察で正座が出来るかをよく聞かれます。確かに日本は正座が出来ないとお寺やお宅訪問などで困る時があります。しかし、膝や身体の事を考えると膝が伸びているかの方がとても重要です。人の膝は立つ時に完全に伸びた状態ならほとんど力を使わずに体重を支える事が出来ます。大腿四頭筋力もあまり必要ない為に、膝関節にかかる力は非常に小さくなり、膝の疼痛や変形が悪化しにくくなります。そして体も良い姿勢を維持できます。ところが膝が伸びなくなると、立っているだけで大腿四頭筋力が必要になります。そして、関節の負荷部位が変わり、圧力も増大して変形が進行します。また、体のバランスを取る為に上半身をやや前傾し腰を曲げます。横から見ると皆さんが思うようなご老人の歩く姿になってしまいます。杖を突く事を嫌がる方もおられますが、杖を突いてでも上半身を真直ぐに伸ばし、膝を伸ばすように歩くと、綺麗で膝に安全な良い歩き方が出来ます。杖を使わず無理をして、膝を痛めるよりは良いのではないでしょうか。どうしても杖を突かずに頑張りたい方は日頃より風呂上がりに膝を伸ばす訓練をして下さい。床に足を伸ばして座り第2足趾を真上に向けた時に(膝を前に向けた状態)、膝裏に隙間ができる方は、すでに膝が完全に伸びない状態です。毎日少しずつでいいので膝頭を上から押して伸ばす訓練をすれば伸びてきます。マッサージや電気治療だけでは気持ちよくても伸びません。毎日の努力が必要です。