17 消毒薬
消毒の説明は非常に難しい部分があります。そのため、今回はケガの消毒のお話をします。
ケガをすれば消毒を行います。しかし、強い消毒薬は正常な皮膚を痛めます。
消毒薬は細胞毒でもあり、消毒の仕方を間違えると傷の治りが遅くなります。
消毒の目的は正常な皮膚を痛めずに傷口に付いた細菌を殺菌(これは最初が重要)し、
二次感染を起こす機会を減らすために周辺皮膚を殺菌する事です。
もし、傷口の中の小石や砂があるなら、その表面にも多くの細菌が付着しており
まずはこれを取り除く必要があります。これが最も重要です。
救急病院でも、汚染がひどい傷は麻酔をした後に、ブラシや生理食塩水で
しっかり汚れを落とします。少々の出血があってもこれが重要です。
自宅でも傷の処置では、できるだけゴミを落としましょう。
シャワー(水道水は無菌です)などでできるだけ、ゴミを落とすようにしましょう。
出血が少ない傷ならゴシゴシ擦っても良いですよ。
この時に、ゴミまで固着させる消毒薬は使わないようにして下さい。
傷の処置で固まった消毒薬を取るのに痛みが強く、ゴミが取り切れていません。
また、皆さんの皮膚表面には多くの常在細菌(化膿の原因になる黄色ブドウ球菌や
連鎖球菌などの表在細菌)がいます。
傷の為に弱った皮膚を常在細菌が侵さないように周辺皮膚を消毒し
傷そのものを消毒する訳ではないのです。
病院などではよくイソジンなどを使用しますがこれは傷に触れると痛みがあります。
皆さんがご自分で消毒する時は、麻酔剤を含み消毒とともに痛みを和らげてくれる
市販の外傷用消毒薬(マキロンなど)が案外いいですよ。
必ず傷口の中のゴミを全部取り除いた後に消毒をしてください。