461 変形性膝関節症とLateral Thrust

しばらくぶりの投稿で、少し学術的なお話をします。私の研究ネタだった変形性膝関節症です。
日本人の変形性膝関節症の約80%はO脚型で、約20%がX脚型です。それぞれ治療が微妙に異なります。
今回はO脚型についてのお話です。
皆さんの靴の踵を見てください。
踵の外側は削れていませんか?
もし、削れているのであれば、多少なりともO脚です。
その靴は修理するか、捨てましょう。履き続ければO脚が悪化します。
その様な靴を履けばもっと加速度的に変形性膝関節症が進行します。
元々、赤ちゃんはO脚、成長の伴って通常の足に、高齢になると膝関節が変形してO脚になる人が増えます。
日本人は膝から下が少し内側に湾曲している方が多いので膝にかかる力がやや内側に偏ります。
昔はO脚の度合いを見るために、股関節から足首までを正面から撮ったレントゲン検査で大腿骨骨頭と足関節中央を結んだ線をミックリッツ線(以下M線)と称し
この線が膝のどの部分を通るかで評価していました。
正常では膝関節の中央を通ります。
O脚になるとM線が膝関節の内側に通ります。
M線が膝の内側を通る事は膝の内側にかかる荷重が多い事を示します。
これにより軟骨摩耗が多くなります。
①内側軟骨の摩耗
↓
②脛骨内側の膝関節面の隙間が小さくなり、脛骨が内側に傾く
↓
③O脚(変形性膝関節症)の進行
↓
④①内側軟骨の摩耗(さらに進行)
以上を繰り返す
そしてO脚が進行して、M線は内側に、膝内側にかかる荷重は増大。
その後、遂に軟骨消失。骨同士が擦れる様になります。
膝関節を支えていた脛骨内側は削れて変形し、膝関節面が内側に傾きます。
ここまでくると歩行中に、踵が着地した直後、膝が大きく外側にぶれます。外側動揺性(Lateral Thrust)の出現です。
実際には、かなり初期からLateral Thrustは生じています。
福岡の天神で人待ちをしている時、ついつい歩行中の人の足をみてしまいます。若くてもLateral Thrustが出ている人がいます。
「膝は大丈夫ですか?」を声をかけたくなります。
5mほど離れた後方より歩いている様子を撮ってもらって下さい。自分の膝にLateral Thrustが生じているかすぐに分かります。
①踵が着地した直後の膝に注目。
②正常ではLateral Thrustは生じません。変形性膝関節症の方や膝の関節が柔らかい方はLateral Thrustが生じています。
一歩毎に軟骨に衝撃が生じているので、軟骨はすぐに傷んできます。
気になる人は整形外科を受診してください。