433 太ももの痛み(外側大腿皮神経炎)

大腿部前方や外側に生じる痛みがある。
②その痛みの一つとして知覚異常性大腿神経痛(外側大腿皮神経炎)がある
③消炎鎮痛剤が効きにくい
④ブロックがよく効く場合が多い。
⑤手術と関係なく生じる痛みもある。

人工股関節

当院に通院されている患者さんで、ある股関節手術で有名な病院で人工股関節の手術を受けた方がいました。私がよく手術目的で紹介する病院のひとつで、手術結果はいつもバッチリです。術後のレントゲンはとても良い状態でした。

ところが、その方は術後、徐々に大腿前外側に痛みを感じるようになりました。ご本人はその痛みは手術によるもので、なかなか取れないと悩んでおられました。執刀医の診察時に聞いても、レントゲンは良好で何の問題もないと言われたそうです。人工関節の先端が緩んで動き、大腿部中央に痛みが出る事もありますが、その方の人工関節は骨にしっかり固定され、緩みもありませんでした。

 執刀医から「人工関節による痛みではない」と言われているので、診察させて頂いたところ、どうやら「外側大腿皮神経の炎症」ではないかと考えました。大腿部前外側の痛みの原因に、「知覚異常性大腿神経痛(外側大腿皮神経炎)」があります。この病気の原因は外側大腿皮神経の絞扼性障害(圧迫)が多く、鎮痛剤は効きにくくブロックが著効します。

外側大腿皮神経部

この方は両膝の変形性関節症が合併されていましたので、消炎鎮痛剤をすでに内服されていました。しかし太ももの痛みにはあまり効果が無く、続いていました。その為、局所麻酔剤によるブロック(骨盤近くにします、ほとんど注射の痛みはありません)を行うと、診察室を出られる時には「太ももの痛みが全然違う、楽になった」と言われました。この方は、長く苦しんでいた痛みが取れそうです。
 股関節の手術をした為に、それが原因と考えがちですが、案外、違う病気が重なっている事もあります。もし、股関節の手術後に太ももが痛い時には一度、考えをリセットしてみるのもいいかもしれません。それと執刀医に受診する時も、手術が原因と考えずに、「太ももが痛いのだけれども、原因は何が考えられるか?」と聞かれても良いと思います。

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