346 整形外科じゃないけど(嚥下障害)
当院で治療中の患者様の親戚の方が食べ物が飲 み込みにくい(嚥下障害)との事で色々な病院を受診したが「原因がわからない」「異常なし」と言われていると来院されました。正直、整形外科で診る事が出来ないと思いました。ただ、患者さんの依頼があった場合は診る義務がありますので診察させて頂きました。症状は食べ物を飲み込むとつかえる様な感じがするそうです。整形外科領域以外は以前の受診された先生にとことん診て頂いていると判断して、私は整形外科領域中心で考えてみました。食べ物を飲み込む時に使用する筋力が落ちている事が考えられますが、それならなんらかの神経障害が認められ、以前に診察した先生方が見逃すはずはありません。では、なんだろうか。私が診ても神経の異常な症状はありません。骨に何らかの異常があるかもしれないとレントゲンを撮りました。すると椎間板はほぼ正常なのですが、食べ物が通る食道の真後ろの第5•6頚椎前方に大きな骨棘(骨の出っ張り)がありました。 特に症状がない変形性性頚椎症ですが食べ物が食道を通る時、骨棘が食道を圧迫していると考えました。私のクリニックではこれ以上はできません。ある大病院に変形性頚椎症による嚥下障害の疑いと紹介しました。造影検査を受けたところ、食道で明らかな造影剤の滞留が軽度認められました。骨棘による嚥下障害だった様です。今後は何らかの薬で症状が改善するか、手術で骨棘切除が必要なのか検査をしながら治療法を決定する様です。