396 痛みを止めない「痛み止め」
「痛み止め」とつい言ってしまいますが、鎮痛剤は痛み止めではありません。
痛みを止める薬は麻酔薬ぐらいです。
痛み止めは「胃が荒れる」「体に悪い」「痛みを止めるだけ」ではありません。
私が研修医の頃は痛みがあればロキソニン(消炎鎮痛剤)という時代でした。
今では痛みも
①侵害受容体性疼痛
②神経障害性疼痛
③心因性疼痛
に分け、多種類の「鎮痛剤」を患者さんの状況に合わせて選ぶ様になりました。
それぞれの痛みに、第1選択剤、第2選択剤、第3選択剤等あり、
病気と効果や副作用の有無を見ながら薬を選びます。
炎症が強い人には消炎鎮痛剤、
胃腸が悪い人には胃に負担がこない薬に変更、
腎臓や肝臓が悪い人には、それぞれの臓器に負担がこない薬を使用する訳です。
その中には漢方薬も含まれ、よく使用します。
漢方薬も西洋薬も「薬」ですから効果も副作用も即効性のある薬もあります。
思わぬ副作用があるので診察時に体の病気・体調不良などは必ず全て医師に伝えましょう。
また「痛み止め」を内服せずに我慢される方もおられます。
長期間、痛みを我慢すると脳の一部が萎縮します。
その部分の機能が弱まると脳は痛みをより強く感じる様になり、
痛みを記憶する事もあります。我慢するほど痛みが強くなる訳です。
痛みを我慢する事で痛みが強くなり、逆に薬の量が増えて副作用が生じてしまう事さえあるのです。
もう少し「痛みどめ」を有効利用してみましょう