438 『病は気から』『信じる者は救われる』あるよ
①『病は気から』『信じる者は救われる』はある。
②コロナワクチンの副反応を恐れる人ほど、副反応が出るようです。
③痛みを我慢すると→胃が荒れる。
④痛みを我慢すると→脳の一部が萎縮して痛みに弱くなる。
⑤痛みがなくなったは治った訳ではない
⑥痛みは区別できない(体の痛みと心の痛み)安静時の痛みは要注意
①当院では治験(発売前の内服薬のテスト)をよくしているのですが、
この時、本物の薬と見分けがつかない偽薬プラセボを使用します。
そして 医師の私や患者さんにも、投与する薬が本物か偽物かわからない
ダブルブラインドという方法で行います。
医師の態度から『あ、これは本当の薬だ』と思わせる事がないようにするためです。
プラセボは何の効果もなくと同時に副作用もないはずです。
ところがある消炎鎮痛剤の治験での胃潰瘍の発生を見ると
2週間投与で、プラセボの方35名中1例胃潰瘍が生じていました。
プラセボで出るはずのない副作用が出たのです。
この胃潰瘍は原因は不明ですが『病は気から』なのかもしれません。
治験に参加する人は基本的に治療する病気以外は異常ない方で、
試験前に胃カメラを行い、正常であることを確認しています。
偽薬でも2週間で胃潰瘍になる方がいた訳です。
この治験で、ある消炎鎮痛剤は単独投与2週間後に、27%の人に胃カメラで胃潰瘍が確認されました。
②つい先日、海外から『副反応を恐れる人ほど副反応が生じる』との論文が報告されました。
過去に似たような実験があります。
ボランティアの学生を3つのグループに分けて何の効果もない注射をしました。
痛みが『強い』『少ない』『一般的』注射であると説明して同じ注射をした後に、どれほどの痛みだったかを記録しました。
結論は予想通り、痛みが強かったと言った人数は『強い』『一般的』『少ない』の順だったのです。
③精神的な鍛錬で痛みを我慢する人がいるかもしれませんが、反対です。
痛みは体の警告信号なので我慢するべきではありません。
もし、何らかの障害による痛みだった場合、我慢をする事で、さらに悪化するだけです。
①で話したように、我慢することで胃潰瘍発生したりすることもあります。
同時に『痛みがなくなった』は治った事ではないので注意が必要です。
④しかも、痛みを我慢すればするほど、
痛みに弱くなる事が立証されています。
長期間の痛みが続くと脳の痛みを我慢する時に使う部分が萎縮が生して、
機能が低下する事がわかってきました。
それによって少しの痛みでも強く痛みを感じるようになります。
実際に、患者さんで長期の腰の痛みを我慢されていたおじいちゃんがいました。
彼は言うには
『腰の痛みが強く、長く我慢をしていた』ので『自分は痛みに強い人間』と思っておられました。
治療として腰にトリガーポイント注射をした時です。
通常の人なら『ビクッ』とする程度の痛みなはずですが、
そのおじいちゃんは『ウーっ』と行って体を捩りました。
『すみません、痛かったですか』と聞くととても痛かったと言われました。
私は違和感を感じました。
他の腰痛の方と比べて異様に痛がるのです。
痛みに対して弱っているのです。
⑤足首の捻挫をした人をサポーター固定した時に、
痛みが無いからと自己判断で外す人がいます。
大丈夫な時もあるのですが、
まだ治っておらず(通常は一ヶ月以上かかる)、
早く動かし過ぎて怪我を悪化させる人がいます。
特に靱帯は力がかからなければ痛みが少ないので、
間違って治ったと判断して固定を外す人がいます。
そして治りきらず、靱帯が緩んだり、切れたままになってしまう人がいます。
足首の靭帯損傷は筋力増強でカバーできませんので、
その後は捻挫を繰り返したり(捻挫が癖になったとよく言います)、
痛みが取れなくなったりします。
治すには、手術が必要になるケースが多いです。
骨折や靱帯断裂でも怪我をした部分をしっかり固定をすれば数日で痛みが少なくなります。
しかし、それは治った訳ではなく、怪我をした所に無理な力がかかっていないだけです。
⑥身体の痛みとその他の痛みは区別できない、と言うよりは
骨そのものはほとんど痛みを感じない。
骨膜が痛みを強く感じます。
そして、脳は痛みだけの情報では心の痛みと体の痛みを区別できない。
ある大学病院の脳外科の先生方が、
失恋の痛みと体の痛みを区別できないと言われているのを見ました。
伝聞なので確認はできませんが、=
痛みだけでその痛みが体の痛みか心の痛みか確認する方法は無さそうです。
ある部位を動かして痛みが強くなるなら、その部位が悪い事は考えられます。
動かさないで、安静時に痛みを感じた時、
その痛みが体からなのか、心からなのかわかりません。
同様に、安静時の痛みは神経そのものが絡んでいる可能性や
特殊な病気があるので注意が必要なのです。