245 記憶される痛み それと 鎮痛剤

皆さんは記憶する時、どの様にしますか。
繰り返し同じ内容を読んだり見たりすると思います。 神経は刺激を繰り返される事でその刺激を記憶します。実は痛みも同様に記憶されま。
痛みが生じるとある決まった神経が興奮し、脊髄、脳に伝わり、痛みとして自覚します。その痛みが繰り返されたり、長い間続くと、脳がその信号を記憶します。記憶される 事で、神経の興奮が簡単に脊髄や脳に伝わり(敏感となり)、痛み を強く感じる様に(記憶する)なるのです。日本人は我慢が出来る とても良い特質を持っています。しかし、痛みは我慢しないで下さい。私は現在、診察時に既往症や副作用を考えて7種類ほどの消 炎鎮痛剤(消炎+鎮痛)や鎮痛剤(鎮痛のみ)から内服薬を選びま す(漢方薬も加えると倍ほどのなります)。早い時点で痛みを軽減し記憶を防ぐためです。3日間~2週間の薬を処方して2回目の受診時に状況を聞きます。ところが 『まだ痛いです』と言われる患者さんの中に全く鎮痛剤を内服 していない方がいます。『副作用が心配』だそうですが、副作 用の内容を正しく知らない人が多いようです。副作用がない薬 はありません(漢方薬、高血圧薬、高脂血症薬、鎮痛剤などすべ ての薬に副作用あり)。特に鎮痛剤は胃腸障害が多かったです が、Cox2阻害剤(鎮痛剤の一種)の出現で胃腸障害が非常に少な くなり、当院では胃薬を同時に処方していません。鎮痛剤を飲 まない選択肢もあります。薬の作用・副作用をよく主治医に聞 き、鎮痛剤を飲まないのであれば、それ以外の除痛治療(運動や 温熱療法)を早く行い、痛みの記憶やストレスによる寝不足、高 血圧の悪化、胃潰瘍、脳の萎縮などを防ぎましょう。痛みは我慢しないで!