患者さんとのトークで 白血病
慢性リンパ性白血病で闘病されている方がいます。
その方は以前より骨粗鬆症の治療を行なっていました。先日、大学病院での採血結果を持ってきて見せていただきました。
嬉しかったです。検査した範囲での結果は全て正常でした。具体的な症状も特にないそうです。
その事を聞いて、研修医の頃に主治医になった女児を思い出しました。
微熱が続き、原因不明の股関節痛でした。
採血結果も正常で私には診断できませんでした。
入院を決定した教授の指示で骨盤から骨髄検査を行いました。
結果は、白血病でした。幸いにも骨髄外に異常細胞が出る前でかなり早期の発見です。
早速、小児科にバトンタッチして治療を開始しようとした時に、父親が他の大学の診察をうけると言い始めました。古典的な表現ですが、目の中に入れても良いと思うほど、子供の事が大事なお父さんでした。
骨髄検査で辛い思いをさせた事と合わせて、診断を信じれなかったようです。
骨髄検査は重要で必要な検査でしたと説明しましたが不信感は拭えなかったようです。時間が命ですから、すぐにその日のうちに検査結果や経過を含めた紹介状を作成して、他の大学病院小児科を受診してもらいました。
診断は同じでした。大学病院の外来の先生はお父さんを説得したそうです。
「診断は間違いない。すでに治療の準備が整っているのに、そこを飛び出して、再度、治療の準備をしているのは娘さんの貴重な時間を無駄に捨てているのと同じです。急いで元の病院に戻って治療を開始しなさい」と言われたそうです。
そのまま、私の所属病院の小児科に入院されました。
その子は無事に寛解導入までなり、ほとんど心配はないと言われるほどになって退院しました。
その後、小児科の先生よりもう大丈夫とのお墨付きを頂きました。