骨折していないとは簡単に言えない時もある。
まず、定義です。
骨折とは骨の連続性が絶たれた事を言います。
なので、ヒビも骨折である事を理解してください。
レントゲン検査では形で判断しますので
小さな骨折やずれが無い骨折はわからない事もあるのです。
特に肋骨骨折。
私は胸を打撲した方が来院した時は
初診時に、絶対に骨折していませんと言いません。
そんな自信はありません。
以前、釣り船から岸壁に渡ろうとして
岩場に転落して怪我をされた患者さんがいました。
福岡市外のある救急病院を受診され、胸部CT検査を受けられました。
軽い肺挫傷があったそうですが、CT検査で骨折は認めないので
肋骨骨折はないと医師より強く断言されたそうです。
その2日後、当院を受診され、3本の明瞭な肋骨骨折がありました。
患者さんには特に肋骨は骨折がわからないケースが多い事を説明しましたが、
かなり、ご立腹でした。
当院での別のケースですが
来院時では骨折がわからなかったのですが、かなり怪しい
レントゲンです。
出血しているような淡い部分が骨の周りに見えています。
もちろん、骨折の可能性がある事を説明して、疼痛が続くなら
来院して頂き、レントゲン検査を勧めました。
疼痛が続くため、来院していただきました。
1週間後のレントゲンでははっきり骨折が確認されます。
イラストで描くと左のようになっていると思います。
そのほか「普通に歩けるし、骨折していませんよね」とよく言われます。
初診時に骨折している事が明瞭なら説明できますが
明瞭でない場合が案外多いのです。
骨折していてもずれが無かったり、骨折線が見えない場合、
骨折しているかわかりません。
骨折しているのに、骨折していませんと言うと誤診になっちゃいます。
そして、骨折していても普通に歩ける事ってよくあります。
膝蓋骨の縦骨折、大腿骨頸部骨折の食い込んだ状態、足首の骨折
もちろん歩けない時もありますが、
「歩ける=骨折していない」は間違いです。
普通に歩ける骨折もあるのです。